イーロン・マスク氏は、2026年10月25日(日本時間11時39分)のXの投稿で、「いいね」を長押しすると、X Money経由で相手に1ドルを送れる機能を追加すると書きました。X Moneyは、Xの中のお金のサービスで、2026年7月27日に米国のPremiumとPremium+の加入者に展開が始まり、8月31日には、米国のアカウントを持つ、すべてのPremiumとPremium+の加入者が使えるようになったと、X Moneyの公式アカウントが発表しています。
3行まとめ
- イーロン・マスク氏は、2026年10月25日、Xの「いいね」を長押しすると、X Money経由で相手に1ドルを送れる機能を追加すると投稿しました。
- X Moneyは、Xの中のお金のサービスです。公式アカウントによると、米国のアカウントを持つPremiumとPremium+の加入者が使えます(2026年8月31日の発表)。
- 1ドルのような少額の送金は、ふつうのカード決済では、手数料の割合が大きくなりやすいため、これまで広がりにくかった分野です。
前提知識:投げ銭、マイクロペイメント、決済手数料
投げ銭(チップ)は、「気に入った人に、少しのお金を直接送ること」です。 路上の演奏者の帽子に小銭を入れるのと同じです。ネットでは、動画の配信者や、記事の書き手に、読者が少額を送るしくみを指します。広告の収入とちがい、読者が「この投稿がよかった」と思った、その気持ちが、そのままお金になって作り手に届きます。今回の機能は、ふだん押している「いいね」の、ひと押しを長くするだけで、この投げ銭ができる、という話です。
マイクロペイメントは、「とても小さい金額の支払い」のことです。 数十円から数百円くらいの支払いを指すことが多い言葉です。ネットが広まったころから、「記事1本を10円で読めたら」「1曲を数円で聞けたら」という考えは、何度も出てきました。ところが、実際には、なかなか広まりませんでした。大きな理由の1つが、次の手数料です。
決済手数料は、「お金を動かす仕事への、手間賃」です。 カードで支払うと、お店とカード会社の間に、カードの会社、銀行、決済の代行会社など、いくつもの会社が入ります。それぞれが、不正の確認、記録、お金の受け渡しをします。その手間賃として、お店の側が手数料を払います。手数料は、多くの場合、「金額の何%」という割合の部分と、「1回ごとに何セント」という固定額の部分の、組み合わせで決まります。
固定額は、少額の支払いほど、重くなります。 たとえば、手数料が「3.49%+0.49ドル」だとします(下の表のとおり、PayPalの米国の料金表にある数字です)。100ドルの支払いなら、3.49+0.49=3.98ドルで、約4%です。ところが、1ドルの支払いなら、0.0349+0.49=約0.52ドルで、約52%になります。送った1ドルの半分が、手間賃で消えてしまう計算です。これが、「1ドルの送金」が難しかった理由です。
何が起きたか
一次情報(マスク氏とX Moneyの公式アカウントの投稿)を、表にまとめます。
| 日付(米国時間) | 投稿 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026年7月27日 | X Money(@XMoney) | X Moneyが、米国のPremiumとPremium+の加入者に、この日から展開を始める |
| 2026年8月31日 | X Money(@XMoney) | 米国のアカウントを持つ、すべてのPremiumとPremium+の加入者が使えるようになった。サイドバーの「Money」タブから始める |
| 2026年10月24日(日本時間25日11時39分) | イーロン・マスク氏(@elonmusk) | 「いいね」を長押しすると、X Money経由で、相手に1ドルを送れる機能を追加する |
マスク氏の投稿は、1文だけです。始まる日、使える国、受け取る側の条件は、この投稿には書かれていません。「追加する」という書き方なので、今後の予定の発表です。
なぜ重要か
いちばん大きいのは、投げ銭の手間が「ひと押し」まで減ることです。これまで、ネットで投げ銭をするには、金額を選び、支払い方法を選び、確認の画面を進む、という手順が必要でした。手順が1つ増えるたびに、途中でやめる人が増えます。「いいね」の長押しなら、ふだんの動作の延長で終わります。
もう1つは、X Moneyが、ただの財布から、投稿と結びついたしくみになることです。お金を送る相手は、その投稿を書いた人です。ぼくの考えだけど、「どの投稿が、どれだけお金を集めたか」が見えるようになると、作り手にとっては、広告の収入とは別の、もう1つの手がかりになります。
背景:Xが、お金のサービスを作る理由
マスク氏は、Xを、投稿だけでなく、さまざまなことができるアプリにする考えを、たびたび語ってきました。X Moneyは、その中心のサービスです。公式アカウントの発表どおり、7月27日に展開が始まり、8月31日には、米国の有料の加入者全員に広がりました。今回の1ドルの機能は、すでにある「お金を送るしくみ」と、毎日たくさん押される「いいね」を、つなぐものです。
しくみ:少額の送金を、安くするには
1ドルの送金を、そのたびにカード会社を通して処理すると、上の計算のとおり、手数料の固定額が重くなります。少額の支払いを成り立たせる方法は、一般に、次のように整理できます。
| 方法 | しくみ | 身近な例 |
|---|---|---|
| まとめて入金し、中で動かす | 先に、ある程度の金額を「残高」として入れておき、その中で、少しずつ動かす。外とのやり取りは、入金のときだけ | 交通系ICカード(先にチャージして、乗るたびに残高から引く) |
| あとでまとめて請求する | 小さな支払いを記録しておき、月末などに、まとめて1回で請求する | 携帯電話の料金に合算する支払い |
| 1回ごとにカードで払う | 支払いのたびに、カード会社に処理を頼む | ネット通販のふつうの買い物 |
ぼくの考えだけど、X Moneyの1ドルは、1番目の「残高の中で動かす」形と相性がよいはずです。送る人と受け取る人が、どちらもX Moneyの中に残高を持っていれば、1ドルの移動は、Xの帳簿の数字を書き換える作業になり、そのたびにカード会社に処理を頼む必要がありません。ただし、X Moneyが実際にどう処理し、手数料をどうするかは、今回の投稿には書かれていません。
これまでの流れ
- 2026年7月27日: X Moneyが、米国のPremiumとPremium+の加入者に展開を始めました(X Moneyの公式アカウント)。
- 2026年8月31日: 米国のアカウントを持つ、すべてのPremiumとPremium+の加入者が使えるようになりました(同)。
- 2026年10月24日(米国時間): マスク氏が、「いいね」の長押しで1ドルを送れる機能を追加すると投稿しました。
知っておくと使える、ポイント
- 手数料は「割合」と「固定額」に分けて見る: 固定額は、金額が小さいほど重くなります。0.49ドルの固定額は、100ドルなら0.5%ほど、1ドルなら49%です。
- 少額の支払いは「まとめる」と安くなる: 先にまとめて入金する、あとでまとめて請求する、のどちらかで、外とのやり取りの回数を減らします。
- よくある誤解: 「X Moneyは、もう日本でも使える」わけではありません。公式の発表では、対象は米国のアカウントを持つPremiumとPremium+の加入者です。
つづきの問い
お金を「残高の中で動かす」とき、その残高のお金は、実際には、どこに置かれているのでしょうか。アプリの中の数字と、銀行の預金の関係を知ると、電子マネーのしくみが見えてきます。
次に読む
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- ニュースの一覧
出典
- イーロン・マスク氏(@elonmusk)のXの投稿(2026年10月25日 02:39 UTC) → https://x.com/elonmusk/status/2114184998651822094
- X Money(@XMoney)のXの投稿(2026年7月27日) → https://x.com/XMoney/status/2081802002539876506
- X Money(@XMoney)のXの投稿(2026年8月31日、マスク氏の引用投稿 2026年9月1日) → https://x.com/elonmusk/status/2094619266943242465
- PayPal「Merchant fees」(米国、2026年10月1日更新) → https://www.paypal.com/us/business/paypal-business-fees
確認状況
1ドルの機能は、マスク氏の投稿(2026年10月25日)で確認しました。始まる日、対象の国、手数料は、投稿には書かれていません。X Moneyの展開の時期と対象は、X Moneyの公式アカウントの投稿で確認しました。手数料の計算例は、PayPalの米国の料金表(2026年10月1日更新)の数字です。
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