アルテミスIIIは「月に行かない」。地球のまわりで、ブルームーンとスターシップに順番にドッキングする試験の流れ

確認日 2026年11月1日 / 読む時間 約7分

目次
  1. 3行まとめ
  2. 前提知識:「ドッキング」と「低軌道」って、何をすること?
  3. 何が起きたか
  4. なぜ重要か
  5. 背景:なぜ、計画が変わったのか
  6. 技術・しくみ:アポロ9号にならった「予行演習」
  7. これまでの流れ
  8. 知っておくと使える、ニュースを読むときのポイント
  9. つづきの問い
  10. 次に読む
  11. 出典

専門メディアの報道によると、アルテミスIIIは月へは行かず、地球の低軌道で、オリオン宇宙船が、ブルーオリジンの着陸船「ブルームーンMK2」の試験機に約2日、スペースXのスターシップに約1日、順にドッキングして試験します。人を乗せた月着陸の前に、結合の手順と機器を確かめるためで、1969年のアポロ9号にならった計画です。打ち上げ日は決まっておらず、アイザックマン局長は「早くても来年の今ごろ」と話したと報じられています。

3行まとめ

  • アルテミスIIIは、月ではなく地球の低軌道に行く飛行です。NASAが2026年2月27日に、この内容を加えたと報じられています。
  • 流れは、ブルーオリジンの着陸船の試験機を先に打ち上げ、次に宇宙飛行士4人が乗るオリオン、最後にスペースXのスターシップです。オリオンは、ブルームーンに約2日、スターシップに約1日ドッキングします。
  • 打ち上げ日は未定です。スターシップはまだ地球周回軌道に到達しておらず、ブルーオリジンのニューグレンも5月の爆発から立て直し中と報じられています。

前提知識:「ドッキング」と「低軌道」って、何をすること?

低軌道とは、地面から数百キロ上空を回る道すじです。 国際宇宙ステーション(ISS)は高さ約400キロ。地球の半径(約6,400キロ)に比べると、ごく低い位置です。ここは、ロケットで届きやすく、何かあっても地球に戻りやすいので、新しい宇宙船の試験の場所によく使われます。月までは約38万キロなので、その約1,000分の1の距離です。

ドッキングとは、宇宙で2つの機体をぴたりと合わせて、つなぐことです。 低軌道の機体は、時速約2万8千キロで飛んでいます。相手も同じ速さで同じ道を回っていて、はじめて「止まって見える」ので、そっと近づけます。車が高速道路で並んで走り、同じ速さなら隣の車が動かないように見えるのと同じです。近づく動作を「ランデブー」、つなぐ動作を「ドッキング」と呼びます。ずれが大きいと衝突になるので、センサーと自動制御で、ゆっくり数センチ単位で合わせます。

なぜ、月へ行く前に試すのでしょう。 月着陸は、オリオン(人が乗って地球に帰る船)と、着陸船(月面に降りる船)が、宇宙で出会ってつながらないと成立しません。ここで失敗すると、乗組員は帰れなくなります。だから、まず地球のそばで、失敗しても戻れる条件で確かめます。これが今回の飛行の考え方です。

何が起きたか

報道(SpacePolicyOnline、SpaceQ、2026年6月〜11月)によると、2026年6月9日に、アルテミスIIIの乗組員が発表されました。NASAの3人と、ESA(欧州宇宙機関)のルカ・パルミターノ飛行士の、計4人です。この飛行は、2026年2月27日に加えられ、月に降りる飛行はアルテミスIVに移り、2028年が目標です。

プログラム責任者のジェレミー・パーソンズ氏の説明として、流れは次のように報じられています。

順番できごと
1ブルーオリジンが、着陸船「ブルームーンMK2」の試験機を打ち上げる(軌道に最長90日とどまれる)
2NASAが、SLSロケットでオリオンと乗組員を打ち上げる
3オリオンがブルームーンMK2に約2日ドッキング。乗組員が着陸船に入り、試験する
4オリオンが離れて、スターシップを待つ
5スペースXのスターシップが打ち上げられ、オリオンに約1日ドッキング
6オリオンが離れて地球へ戻り、太平洋に着水する

NASAのジャレッド・アイザックマン局長は、打ち上げ準備が整う日を「早くても来年の今ごろ」に絞りこんでいる、と話したと報じられています。また、「得るものが足りないなら打ち上げない」という趣旨の発言も報じられました。

なぜ重要か

月着陸の計画は、ブルーオリジンとスペースXの2社の着陸船に支えられています。2社の機体は、どちらも、まだ人を乗せたオリオンと結合したことがありません。結合部の形、ハッチの大きさ、空気の漏れ、電源の受け渡しなど、現物でしか分からない点を、地球のそばで一度に確かめられるのが、この飛行の価値です。

背景:なぜ、計画が変わったのか

報道では、スターシップがまだ地球周回軌道に到達していないこと、ブルーオリジンのニューグレンが2026年5月28日に、発射前の試験中に爆発し、唯一の発射台が傷んだことが、背景として挙げられています。月着陸の前に確かめるべきことが多いため、飛行を1本はさんで、手順を前倒しで試す形にしたと読めます(ここは、報道からのぼくの理解です)。

技術・しくみ:アポロ9号にならった「予行演習」

1969年3月のアポロ9号は、地球低軌道で、司令船と月着陸船を結合させ、切り離し、再結合する試験をしました。今回の計画は、この考え方を、2社の着陸船に広げたものです。なお、スペースXは、スターシップV3を「ドッキング用アダプターを付けた状態で」ラインから出す予定と報じられ、月着陸用の完全版(HLS)とは別の機体です。HLSの客室は、スターベースで実物に近いものを作っています。

これまでの流れ

  • 2026年2月27日: NASAが、アルテミスIIIを低軌道での試験として加えたと報じられる。
  • 2026年5月28日: ニューグレンが発射前の試験中に爆発。
  • 2026年6月9日: 乗組員4人を発表。
  • 2026年11月: アイザックマン局長が、準備完了は「早くても来年の今ごろ」と説明。

知っておくと使える、ニュースを読むときのポイント

  • 「アルテミスIII」は、もう「月に降りる飛行」ではありません。月面着陸はアルテミスIV(2028年目標)です。
  • 「打ち上げは3回、ドッキングは2回、着水は1回」と覚えると、全体像を説明できます。
  • 日程が決まっていない計画は、「早くても」で語られます。日付の発表を待ちましょう。

つづきの問い

ブルームーンもスターシップも、地球低軌道では「燃料が満タンの着陸船」です。月へ向かうとき、この大量の燃料はどうやって宇宙で補給するのでしょうか。

次に読む

出典

※確認状況:計画の流れ、日数、乗組員、アイザックマン局長の発言は、報道(2026-11-01時点)に基づきます。NASAの公式ページの本文は確認していません。

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