イーロン・マスクとPayPal ― X.com創業、CEO交代、eBayへの売却まで(1999〜2002年)

確認日 2026年10月11日 / 読む時間 約8分

目次
  1. 1999年、インターネット上の「銀行」
  2. 2000年、ライバルとの合併
  3. 2000年9月、CEOの交代
  4. 2001年、PayPalへ
  5. 2002年、eBayが買収を発表
  6. ここで、1つ気づくこと
  7. よくある質問
  8. まとめ
  9. 出典(確認日 2026-10-11)

Zip2を売ったマスクは、1999年にオンライン金融のX.comを共同創業しました。2000年にPayPalを運営するConfinityと合併し、同年9月には、取締役会がマスクをCEOから外してPeter Thielを後任にしたと報じられています。会社は2001年にPayPalへ社名を変え、2002年7月8日、約15億ドルでeBayに買収されると発表されました。

X.comとPayPalの年表。1999年3月X.com創業、2000年3月Confinityと合併、2000年9月CEO交代、2001年PayPalに社名変更、2002年7月8日eBayが買収を発表、2002年10月3日買収完了
図1:X.comからPayPal、そしてeBayへ(AI生成のイメージ。月日は報道・SEC資料ベースで、一部は未確認)。

自分で作った会社の、社長の座を、外される。

起業家にとって、これは、大きな出来事です。イーロン・マスクは、Zip2を売ったあとに作った会社で、まさにそれを経験した、と報じられています。しかも、その会社は、その後、15億ドルで、売られることになります。

この記事では、X.comという会社の誕生から、PayPalという名前になり、eBayに買われるまでの、約3年半を追います。

1999年、インターネット上の「銀行」

Zip2を売った、1999年。マスクは、すぐに次の会社に向かいます。X.com(エックス・ドット・コム)です。

場所は、カリフォルニア州パロアルト。創業は、1999年3月と伝えられています(月は、確認が十分ではありません)。X.comが目指したのは、インターネット上で、銀行口座、保険、住宅ローン、投資などの金融サービスを、まとめて提供することでした。

インターネットでお金を扱う。今では当たり前ですが、当時は、まだ珍しい発想でした。事典の記述では、創業にあたり、約2,500万ドルを投じたとされています(確認は不十分です)。

2000年、ライバルとの合併

そのころ、同じ町に、別の会社がありました。Confinity(コンフィニティ)です。PayPal(ペイパル)という決済サービスを運営していました。

X.comとConfinityは、競い合っていた存在でした。しかし、2000年3月ごろ、2社は合併します(月は、事典による情報です)。合併した会社は、当初、X.comという名前を残したと伝えられています。

どうして、合併したのか

競う2社が1つになる。理由として、報じられているのは、「競争で消耗するより、一緒になって、大きく伸ばす」という発想です。ただし、合併の交渉の中身(いつ始まり、誰が決めたのか)は、この記事では確認できていません。

2000年9月、CEOの交代

ここで、冒頭の出来事です。

合併から、約半年後の2000年9月。報道によると、合併後の会社の経営陣のあいだに対立が生じ、取締役会が、マスクをCEOから外して、Peter Thiel(ピーター・ティール)を後任にしたと伝えられています。ThielとMax Levchin(マックス・レヴチン)が、経営陣の交代を主導した、とも報じられています(主に、のちに書かれた伝記に基づく再構成です)。

このとき、マスクは、休暇中だった、と伝えられています。ただし、この点は、後年の伝記に基づく記述で、当時の記録では確認できていません。

筆者の読み解き(確認した事実ではありません)

自分が作った会社で、経営の舵を、失う。これは、のちのテスラやスペースXで、マスクが「自分でCEOを務め続けること」にこだわる姿を考えるとき、頭の片隅に置いておきたい出来事です。ただし、そこに因果関係があるかどうかは、確かめようがありません。

X.comとConfinityの合併。競争していた2社が2000年3月ごろに合併。2000年9月に経営陣の対立でCEOが交代し、マスクに代わってPeter Thielが就任と報じられた
図2:合併と、CEO交代(図解。経営陣の対立の詳細は、後年の伝記に基づく報道)。

2001年、PayPalへ

その後、会社は、2001年に、社名を「PayPal」に変えたと報じられています(月は、確認できていません)。

マスクが考えた「X.com」という名前から、決済サービスとして、すでに知られていた「PayPal」へ。社名が、実際に使われている商品の名前に、そろえられました。

2002年、eBayが買収を発表

そして、2002年。

7月8日。オークションサイトの大手、eBay(イーベイ)が、PayPalを買収すると発表しました。株式の交換で、PayPalの株1株につき、eBayの株0.39株を交付する、という条件です。取引の価値は、約15億ドル。この内容は、SEC(米国証券取引委員会)に掲載された、eBayの公式発表で、確認できます。

そして、2002年10月3日。eBayは、PayPalの買収が完了した、と発表しました。PayPalの株主総会で、取引が承認され、PayPalは、独立したブランドとして、運営されることになりました。

1999年にX.comを立ち上げてから、約3年半。大手企業に売る、という形で、PayPalの物語は、ここで1つの区切りを迎えます。

eBayによるPayPal買収。2002年7月8日に発表、PayPal1株につきeBay株0.39株、取引価値は約15億ドル。2002年10月3日に買収完了
図3:eBayによる買収(図解。SECに掲載されたeBayの発表に基づく)。

マスクが、この取引で受け取った金額については、約1億6,500万ドル相当のeBay株を得た、と報じられています(新聞報道)。ただし、この金額は、SECの資料などでは、確認できていません。

ここで、1つ気づくこと

筆者の読み解き(確認した事実ではありません)

次の記事で語る、スペースXの創業は、2002年6月と伝えられています(日付は未確認)。これは、eBayによる買収の発表(7月8日)や、完了(10月3日)より、前です。つまり、マスクは、PayPalの売却が完了する前から、ロケットの会社を、動かし始めていた可能性があります。ただし、創業日そのものが確認できていないため、これは、時期の前後関係の指摘にとどめます。

よくある質問

マスクは、PayPalの創業者ですか?

X.comの共同創業者です。PayPalは、もともと別の会社(Confinity)のサービスで、2000年の合併後、会社の名前になりました。

マスクが、CEOを外された話は、本当ですか?

報道があります。ただし、主に後年の伝記に基づく再構成で、当時の記録で確認できたわけではありません。

マスクは、PayPalの売却で、いくら受け取りましたか?

約1億6,500万ドル相当のeBay株、と報じられていますが、一次の資料では確認できていません。

まとめ

次の記事:PayPalを手放したマスクが、次に向かったのは、ロシアでした。ロケットを、買うために。

出典(確認日 2026-10-11)

この記事は、科学技術と企業の歴史の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図1はAIで生成したイメージ、図2・図3は筆者が作った図解です。