2001年ごろ、イーロン・マスクは、ロケットを買うためにロシアへ向かいました。しかし交渉は成立せず、「買えないなら、自分で作る」という道を選び、2002年にスペースXを創業した、と伝えられています。

「ロケットを、買いに行く」。ふつうの人が、一生に一度も口にしない言葉です。
けれども、イーロン・マスクは、本当にそれをやろうとしました。行き先は、ロシア。目的は、ロケットを手に入れて、火星に向けて飛ばすこと。この旅の失敗が、のちに世界の宇宙産業を揺さぶる会社、スペースXの出発点になります。
この記事では、その入口を、順番に見ていきます。事実として確認できていることと、「と伝えられている」ことは、はっきり分けて書きます。
火星に、何を送りたかったのか
話の始まりは、「火星」です。
マスクは、火星に植物や小さな動物を送る、という構想を持っていたと伝えられています(2022年にビジネスメディアが紹介した、関係者の証言をもとにした記事)。目的は、地球の外にも命が生きられる場所をつくる姿を見せて、人々の関心を、宇宙開発に向けること。ロケットは、そのための「乗り物」でした。
ただし、ここには大きな壁があります。ロケットは、どこに売っているのか?
2001年ごろ、ロシアへ
当時のロケットは、国や、ごく少数の大きな組織が作るものでした。個人が、お店で買えるような品ではありません。そこでマスクは、ロシアに向かいました。ロケットを、安く譲ってもらえないかと考えたのです。
交渉の時期は、2001年ごろと報じられています(正確な日付は確認できていません)。結果は、不成立。ロシア側とは、条件が折り合わなかった、と伝えられています。
交渉の席で、ロシア側から侮辱的な扱いを受けた、という逸話があります。後年の証言に基づく話で、細部は、確認できていません。「あの出来事のせいで、スペースXが生まれた」と断定するのは、避けるべきです。交渉が不成立だったことと、その後に自分で作る道を選んだことの、2点は報道で確認できます。
買えないなら、作る
ここで、普通なら諦めます。ロケットが買えないのだから、火星への夢も、そこで終わりのはずです。
ところが、マスクは別の問いを立てました。「そもそも、ロケットは、なぜこんなに高いのか?」
これは、前の記事で紹介した「第一原理思考」そのものです(第一原理思考とは?)。マスクは、のちに、ロケットの原材料費は、売値の約2%にすぎないと語っています。つまり、「高い理由は、材料ではなく、作り方にあるのではないか」という発想です。ただし、この「約2%」は、マスク本人の説明で、第三者の資料での確認はできていません。
買えないなら、作る。それも、ずっと安く、作る。ここから、物語が動き出します。

2002年、スペースX創業
マスクは、2002年に、Space Exploration Technologies(通称スペースX)を創業しました。場所は、アメリカ・カリフォルニア州のエルセグンドです。創業の月は、2002年6月と伝えられていますが、日付そのものは、確認できていません。
創業のとき、マスクは自分でお金を出しました。ロケットづくりの経験がない人が、自分の資金で、ロケット会社を始めたのです。
「無謀」に見えた、その理由
では、なぜこれは、周りから「無謀」に見えたのでしょうか。理由は、シンプルです。
- ロケットは、国や大きな組織の仕事だと考えられていた。
- 失敗すると、巨額の費用が、一瞬で失われる。
- 一度も作ったことのない会社が、成功する保証は、どこにもない。

マスクの挑戦は、この「常識」の、全部に逆らうものでした。そして、実際に、この先、大きな失敗が待っています。次の記事で語るのは、打ち上げに3回連続で失敗したスペースXと、その崖っぷちから生まれた奇跡です。
よくある質問
ロシアで、唾を吐かれたという話は本当ですか?
後年の証言にもとづく逸話で、確認できていません。この記事では、「交渉が不成立だった」という点だけを、事実として扱っています。
スペースXの創業日は、いつですか?
2002年6月と伝えられていますが、正確な日付は、確認できていません。会社の設立日と、実際に活動を始めた日が違う場合もあります。
ロケットの材料費が、売値の約2%というのは正しいですか?
マスク本人の説明として紹介しています。第三者の資料で、同じ前提の数字を確認することは、できていません。
まとめ
- 2001年ごろ、マスクは、ロケットを買うためにロシアへ向かったと報じられている。交渉は不成立。
- 買えないなら作る、という道を選び、2002年にスペースXを創業(日付は未確認)。
- 「ロケットは、なぜ高いのか」という問いは、第一原理思考につながる(約2%は、マスクの説明で、未検証)。
次の記事:スペースXは、創業後に何が起きたのか。打ち上げ失敗3連続と、4回目の奇跡へ。
出典(確認日 2026-10-11)
- Business Insider「Russian officials inspired Elon Musk to start SpaceX by spitting on his shoes, a new book says」(2022年6月): https://www.businessinsider.com/russian-inspired-spacex-by-spitting-on-elon-musk-shoes-book-2022-6(ロシアでの交渉と、火星構想の背景。逸話の細部は後年の証言)
- ロケットの原材料費に関するマスクの発言: 第一原理思考とは? の出典を参照。
この記事は、科学技術と企業の歴史の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。