テスラのModel 3の仕組みは、電気(電池→インバーター→モーター)、力(モーター→1段のギア→タイヤ)、熱(冷却液とヒートポンプ)、情報(カメラ→コンピューター)の4つの流れと、それを乗せる車体で、整理できます。電池の電圧は公称355V、ギア比は9.03:1です(公式マニュアル、シンガポール版)。

テスラの電気自動車(EV)は、どういう仕組みで走るのか。 この記事は、第2部の最後として、これまでの6本を1枚にまとめた「全体マップ」です。専門用語は、できるだけ使わずに説明します。
テスラの仕組みを、ひとことで言うと
テスラ(ここでは、公式資料が確認できるModel 3)の仕組みは、4つの流れと、それを乗せる車体で、整理できます。
| 流れ | 何が流れるか | 主な部品 | くわしい記事 |
|---|---|---|---|
| 電気 | 電気 | 電池 → インバーター → モーター | 第2話:電気の流れ |
| 力 | 回転する力 | モーター → 1段のギア → 差動装置 → タイヤ | 第3話:力の流れ |
| 熱 | 熱 | 冷却液、ヒートポンプ | 第4話:熱の流れ |
| 情報 | カメラの映像 | カメラ → コンピューター → 表示・制御 | 第5話:情報の流れ |
| (車体) | ― | 大きな鋳造部品、構造用バッテリーパック | 第6話:車体のつくり |
まず、ガソリン車との違いを知りたい人は、第1話:EVとガソリン車の違いから読むと、全体がつかみやすくなります。
ガソリン車と比べると、何が置き換わるのか
ガソリン車の部品を、テスラの部品と対応させると、全体の見通しがよくなります。
| ガソリン車 | テスラ(Model 3) | 公式で確認できたこと |
|---|---|---|
| 燃料タンク | 高電圧電池 | 液冷のリチウムイオン電池、公称355V |
| エンジン | モーター+インバーター | 後ろ=永久磁石同期モーター、前(AWD)=誘導モーター |
| 変速機(多段) | 1段の固定ギア | ギアの比は9.03:1 |
| ラジエーター | 冷却液と、ヒートポンプ(装備車) | 電池・モーターは液冷 |
| 運転する人の目 | カメラ(外を見る台数が7〜8台、ほかに車内1台) | マニュアルの「Cameras」 |

4つの流れを、順番に説明
電気の流れ:電池 → インバーター → モーター
EVは、電池にためた直流の電気を、インバーターで交流に変えて、モーターに送ります。ブレーキのときは、モーターが発電機になり、電気を電池に戻します(回生ブレーキ)。Model 3の高電圧電池は、液冷のリチウムイオン電池で、公称355V DCです。後ろのモーターは永久磁石同期モーター、前のモーター(全輪駆動の車)は誘導モーターです。(くわしくは第2話)
力の流れ:モーター → ギア → 差動装置 → タイヤ
モーターの回転は、1段のギア(9.03:1)で、回転を約9分の1に落とし、回す力(トルク)を約9倍にして、タイヤに伝わります。カーブでは、差動装置が、外側のタイヤを速く回せるようにします。(くわしくは第3話)
熱の流れ:冷やす、温める
電池、モーター、インバーターは、冷却液で冷やします。電池は温めることも大切で、寒いと、蓄えたエネルギーの一部が使えず、回生ブレーキ、加速、充電の速さが制限されることがあります。米国エネルギー省のページによると、ヒーターを使うと、EVの航続距離は最大41%下がることがあります。(くわしくは第4話)
情報の流れ:カメラ → コンピューター → 表示・制御
外を見るカメラは、フロントバンパー上(装備車のみ)、後ろのナンバープレート上、各ドアピラー、フロントガラス上に2台、各フロントフェンダーに付いています。テスラは、カメラだけで周囲を認識する方式を、Tesla Visionと呼んでいます。コンピューターの公式の仕様は、確認できていません。(くわしくは第5話)
車体のつくり
テスラは、車体の一部(Model Yの後ろの床まわり)を、溶かしたアルミを大きな金型に流し込んで、大きな部品として作っています。壊れた端だけを切り替える修理の手順も、整備資料に載っています。(くわしくは第6話)
全体を1枚で見ると

4つの流れは、別々に見えて、つながっています。
- 電気の流れで、電池の電気が使われると、熱が出る。→ 熱の流れで、冷やす。
- 寒いと、電池が冷えて、電気の力が出にくい。→ 熱の流れで、温める。
- カメラが見た情報で、ブレーキやステアリングを制御する。→ 力の流れや電気の流れが動く。
- 車体の中心に、電池が置かれる。→ 電気の流れの部品が、車体の骨格にもなる。
4つの流れは、「ガソリン車では、エンジンがまとめて受け持っていたこと」を、別々の部品に分けたものに見えます。電池は燃料と動力の貯蔵、インバーターとモーターは動力、冷却液とヒートポンプは暖房と冷却、というように。この見方は、私の整理で、テスラの公式な説明ではありません。
よくある質問
テスラは、何で動いていますか?
電池にためた電気で、モーターを回して走ります。電池→インバーター→モーターの流れです。ガソリンや、エンジンは、使いません。
テスラのモーターは、どこにありますか?
Model 3のマニュアルによると、後ろにモーターがあります。全輪駆動の車は、前にもモーターがあります。
テスラのギアは、何段ですか?
Model 3は、1段の固定ギアです。ギア比は9.03:1(公式マニュアル、シンガポール版)。
テスラのカメラは、何台ですか?
マニュアルの表を数えると、外を見るカメラは、フロントバンパー上のカメラ(装備車のみ)を入れて8台、入れなければ7台です。車内に、別に1台あります。
寒いと、テスラの航続距離は下がりますか?
米国エネルギー省のページによると、ヒーターを使うと最大41%、使わなくても約12%下がることがあります(2019年のAAAの調査にもとづく推定)。
自動運転のしくみは、この記事でわかりますか?
この記事では、カメラまでの流れを扱いました。コンピューターの公式の仕様や、ニューラルネットワークの中身は、確認できておらず、書いていません。
まとめ
- テスラ(Model 3)の仕組みは、電気・力・熱・情報の4つの流れと、車体で整理できる。
- 電気:電池(公称355V)→インバーター→モーター。力:モーター→1段のギア(9.03:1)→差動装置→タイヤ。
- 熱:冷却液で冷やし、寒いときは温める。ヒーターを使うと、航続距離は最大41%下がることがある。
- 情報:カメラ→コンピューター→表示・制御。コンピューターの公式の仕様は、未確認。
- 車体:大きな鋳造部品。構造用バッテリーパックの効果の数字は、未確認。
第2部は、ここまでです。次の第3部から、電池、モーター、インバーター、車体などを、1つずつ、さらに細かく見ていきます(準備中)。
出典(確認日 2026-10-14)
- Tesla「Model 3 Owner's Manual」(シンガポール版)の「Subsystems」「Cold Weather Best Practices」「Cameras」: https://www.tesla.com/ownersmanual/model3/en_sg/GUID-E414862C-CFA1-4A0B-9548-BE21C32CAA58.html
- FuelEconomy.gov(米国エネルギー省・環境保護庁)「Fuel Economy in Cold Weather」: https://fueleconomy.gov/FEG/coldweather.shtml
- U.S. Department of Energy, Alternative Fuels Data Center「How Do All-Electric Cars Work?」: https://afdc.energy.gov/vehicles/how-do-all-electric-cars-work
- このサイトの第1話〜第6話(それぞれの出典は、各記事の末尾にあります)。
この記事は、科学技術の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。