バッテリーの予熱(プレコンディショニング)とは、走る前や充電の前に、電池を、使いやすい温度まで、あらかじめ温めておくことです。Model Yの公式取扱説明書は、トリッププランナーで充電場所へナビすると、車が高電圧バッテリーを予熱して、充電にかかる時間が減ると説明しています。テスラは、出発の30〜45分前から、予熱を始めることをすすめています。ただし、温度の数字や、短縮される時間の数字は、公式資料では確認できていません。

前回のオクトバルブは、冷却液の道すじを切り替えて、バッテリーなどの温度を整える部品でした。この記事では、その仕組みを使って、電池をあらかじめ温める「予熱」が、どう使われるのかを、公式の取扱説明書で確認していきます。
結論:電池を、使う前に温めておくための機能
Model Yの取扱説明書(Cold Weather Best Practices、寒冷時のヒント)は、こう説明しています。
「it is helpful to warm the cabin and Battery before driving」
(走る前に、車内と電池を温めておくと、役に立つ。)
つまり、予熱とは、走り出す前に、電池を温めておくことです。
なぜ、予熱が必要なのか(取扱説明書の記述)
取扱説明書は、電池が冷たいと、次のことが起きると説明しています。
- 電池に入っているエネルギーの一部が、使えなくなることがある。画面に、青い雪の結晶のマークが出る。
- 回生ブレーキ、加速、充電の速さが、制限されることがある。
- 回生ブレーキが弱くなるのは、電池が冷たいとき。走り続けて電池が温まると、回生の力が増える。
- 寒い時期は、走るための電力、車内の暖房、電池の加熱のために、エネルギーを多く使う。
ここで、回生ブレーキとは、ブレーキをかけるときに、モーターを発電機として使って、電気を取り戻す仕組みです。
「どのくらいの温度から、どのくらい制限されるのか」の数字は、この取扱説明書の、この部分には、書かれていません。数字は、未確認です。
予熱の方法(取扱説明書の記述)
Model Yの取扱説明書は、予熱の方法を、次のように紹介しています。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| スケジュール(出発時刻の予約) | 出発したい時刻を設定すると、車が、その時刻に合わせて、車内と電池を温める時間を決める |
| アプリの「Climate(空調)」 | 車内を温める操作が、「必要に応じて、高電圧バッテリーも温める」 |
| アプリの「Defrost Car(霜取り)」 | フロントガラス、充電口などの霜や氷を溶かす操作が、「必要に応じて、バッテリーも温める」 |
| 充電場所へのナビ | トリッププランナーなどで、テスラの充電場所へナビすると、車が、高電圧バッテリーを予熱する |

充電のときの予熱
取扱説明書は、充電について、こう書いています。
「pre-heats the high voltage Battery to ensure when you arrive at the charger, the temperature of the Battery is optimal and ready to charge. This reduces the amount of time it takes to charge.」
(高電圧バッテリーを予熱して、充電器に着いたときに、電池の温度が、ちょうどよく、充電できる状態にする。これで、充電にかかる時間が減る。)
また、テスラは、充電場所へのナビを、着く30〜45分前から使うことを、すすめています。ドライブが、それより短いときは、走る前に、予熱しておくことを、検討するように、と書いています。
Model Sの取扱説明書(暑い時期のヒント)にも、同じ趣旨の記述があります。ただし、車種や、ソフトウェアのバージョンで、画面や名前は、違うことがあります。
予熱に、オクトバルブは、どう関わるのか
オクトバルブの特許(US12365215B2)は、バッテリーを温めることについて、「充電の前の準備」や、「寒くて航続距離が下がるとき」に使える、と説明しています。

ただし、取扱説明書には、オクトバルブという名前は、出てきません。また、実際の車の予熱の動きが、特許のどのモードにあたるのかは、公式の資料では確認できていません。
確認できなかったこと
- 予熱で、電池を何度まで温めるのか、その温度の数字。
- 予熱によって、充電時間がどれだけ短くなるのか、航続距離がどれだけ変わるのかの、公式の数字。
- 予熱に使う電力が、どれだけか。
- 車種による、方式の違い(専用のヒーターがあるか、など)。第三者の記事で、車種ごとの違いを説明するものがありましたが、取扱説明書では、確認できませんでした。
取扱説明書の書き方から、「冬は、電池が冷たいと、充電や回生が制限されやすいので、前もって温めておくと、よい」という考え方は、読み取れます。ただし、実際の効果の大きさは、気温や、電池の状態で変わるはずで、この記事では確認できていません。
よくある質問
バッテリーの予熱(プレコンディショニング)とは何ですか?
走る前や、充電の前に、電池を、使いやすい温度に、あらかじめ温めておくことです。
どうやって予熱しますか?
取扱説明書では、出発時刻の予約(スケジュール)、アプリの空調や霜取り、充電場所へのナビ、などが紹介されています。
いつから始めればよいですか?
テスラは、空調などの設定を、出発の30〜45分前から始めることや、充電場所へのナビを、着く30〜45分前から使うことを、すすめています。
予熱すると、充電は何分速くなりますか?
取扱説明書は、「充電にかかる時間が減る」と書いていますが、何分かの数字は、確認できていません。
まとめ
- 予熱とは、走る前や充電の前に、電池を温めておくこと(Model Y取扱説明書)。
- 電池が冷たいと、使えるエネルギーが減り、回生ブレーキ、加速、充電が制限されることがある(取扱説明書)。
- 充電場所へナビすると、車が、電池を予熱し、充電時間が減る。テスラは、30〜45分前からをすすめる。
- 温度や、時間短縮の数字、車種ごとの方式の違いは、未確認。
次の記事:電気の力を、動く力に変える、モーターとインバーターを、順番に見ていきます(準備中)。
出典(確認日 2026-10-15)
- Tesla Model Y Owner's Manual「Cold Weather Best Practices」(日付の表示なし): https://www.tesla.com/ownersmanual/modely/en_ae/GUID-F907200E-A619-4A95-A0CF-94E0D03BEBEF.html
- Tesla Model S Owner's Manual「Hot Weather Best Practices」(日付の表示なし): https://www.tesla.com/ownersmanual/2012_2020_models/en_jp/GUID-6F5B7B3F-F020-471D-9D46-D1F990A6237A.html
- 米国特許 US12365215B2「Electric vehicle heat pump using enhanced valve unit」(Tesla Inc、2025年7月22日): https://patents.google.com/patent/US12365215B2/en
この記事は、科学技術の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。