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ヒートポンプは、熱を「作る」のではなく、あるところから別のところへ「運ぶ」装置です。テスラの公式ページ「Range Tips」によると、電気自動車はエンジン車にくらべて廃熱(むだに出る熱)が少ないので、車内の暖房に電池の電気を使います。ヒートポンプがある車では、車の部品などの熱を回収して、使う電気を減らします。取扱説明書には、走行モードを落とすと、ヒートポンプが電池からより多くの熱を取り出して、暖房に使えると書かれています。

第2部の熱の流れでは、電気自動車の熱を、冷やすことと温めることの両方で見ました。この記事では、冬の暖房に関わるヒートポンプを、テスラの公式の資料で確認します。
結論:ヒートポンプは、熱を「作る」のでなく「運ぶ」
エンジン車は、エンジンが動くと、たくさんの熱が出ます。この熱を、冬の車内の暖房に使えます。電気自動車は、モーターの効率が高く、熱があまり出ません。テスラの公式ページ「Range Tips」は、このことを次のように書いています(要約)。
- テスラの電気の動力は、エンジン車にくらべて、廃熱が少ない。
- そのため、車内を暖めるのに、電池のエネルギーを使う。これが、走れる距離に影響する。
- ヒートポンプが付いている車では、車の部品から熱を回収して、使うエネルギーを減らす。
廃熱は、動力を作るときに、使いきれずに出てしまう熱です。ヒートポンプは、冷蔵庫やエアコンと同じ原理で、熱を「低い温度のところ」から「高い温度のところ」へ、電気の力で運ぶ装置です。電気でそのまま熱を作る(ヒーター)より、少ない電気で、同じだけ暖められる場合があります。
上の「ヒートポンプの原理」は、一般的な説明です。テスラ公式の資料で、ヒートポンプの仕組みの図や、「ヒーターより何倍効率がよい」といった数字は、今回は確認できていません。
車のどこの熱を使うのか:公式の資料で確認できたこと
公式の資料が、はっきり書いているのは、次の2つです。
- 車の部品から熱を回収する(Range Tips)。どの部品かは、このページには書かれていません。
- 電池の熱を使う。Model Yの取扱説明書(北米版、ソフトウェア2026.32)は、次のように書いています(要約)。走行モード(加速の強さ)を落とすと、ヒートポンプが、「電池が最大の加速を出せる状態を保つ」ことよりも、電池からより多くの熱を取り出して、車内を暖めるほうを優先できる。その結果、寒い季節の効率が上がる。なお、あとで走行モードを上げると、電池が温まるまで、時間がかかる。
「モーターやコンピューターの熱も使う」と書いてある記事もありますが、今回読んだ公式ページでは、確認できていません。

冬に効率を上げる使い方(テスラ公式の案内)
テスラの公式ページには、冬の暖房の効率を上げるための案内があります(Range Tips、要約)。
- 空調、シートヒーター、ハンドルヒーターを「Auto」にして、温度を必要なぶんだけ調整する。外の気温と設定温度の差が小さいほど、使うエネルギーが減る。
- 走行モード(Controls > Pedals & Steering > Acceleration)を落とす。「Chill」が、いちばん省エネで、とくに寒い時期に向く。
- 出発前に、電池を温める(プレコンディショニング)。できれば充電しながら行う。電池の熱を、走行中のヒートポンプが、車内と電池の暖房に使える。
Model Yの取扱説明書(日本語版)にも、ヒートポンプのある車では、プレコンディショニングによって、走行中に電池の熱で車内を暖められるので、エネルギーの消費が減る、という記述があります。プレコンディショニングについては、バッテリーのプレコンディショニングの記事で詳しく見ました。
寒い日に、コンプレッサーが動くのはなぜ?
取扱説明書には、気づきやすい動作の説明もあります。
- 外が寒くて、車が暖房中でも、エアコンのコンプレッサーと外のファンが動いて、音が出ることがある。「効率を最大にするよう、自動で動くため」と書かれています。
- エアコンのコンプレッサーは、車内を冷やすだけでなく、電池も冷やす。暑い日は、エアコンを切っていても、コンプレッサーが動くことがある。
- 駐車中でも、水が流れる音や、うなるような音が出ることがある。内部の冷却のしくみが、低電圧電池や、高電圧電池の温度を整えるために動いているためと書かれています。
- 車の下に、小さな水たまりができるのは、除湿でできた水で、正常。
この「コンプレッサーが寒い日にも動く」点は、暖房にもコンプレッサーを使う、ヒートポンプの考え方と合っています。ただし、コンプレッサーが暖房のどの段階でどう使われるかは、公式の資料に詳しく書かれておらず、確認できていません。
高電圧のヒューズに、3つの部品がある(整備書)
Model 3の整備書(サービスマニュアル)の「Fuse - Ancillary Bay」の手順には、高電圧のヒューズとして、電力変換システム、エアコンのコンプレッサー、車内のヒーターの3つが書かれています。整備書の図は、「ヒートポンプの車」と「ヒートポンプのない車」を分けています。これは、コンプレッサーと車内ヒーターが、高電圧の電池から電気をもらう部品であることを示します。ただし、この手順は、高電圧の認定を受けた技術者だけが行うもので、オーナー向けではありません。

公式の資料から読み取れるのは、「電気自動車は廃熱が少ないので、暖房が走行距離に響く。ヒートポンプは、その対策で、電池の熱も使えるようにしている」という流れです。ただし、どれくらい効くのかは、数字が見つからなかったので、わかりません。数字は、実際の使用環境で変わるはずです。
よくある質問
ヒートポンプとは、何ですか?
熱を作るのではなく、運ぶ装置です。テスラの公式ページによると、ヒートポンプのある車は、車の部品から熱を回収して、暖房に使うエネルギーを減らします。
冬は、どうすると効率がよいですか?
テスラの公式ページは、空調を「Auto」にする、走行モードを落とす(「Chill」が最も省エネ)、出発前に電池を温める(プレコンディショニング)、を案内しています。
寒いのに、エアコンの音がするのは故障ですか?
取扱説明書には、寒い日の暖房中や、スーパーチャージャーでの充電中にも、コンプレッサーと外のファンが動いて、音が出ることがあると書かれています。気になるときは、取扱説明書や、テスラのサービスで確認してください。
自分の車にヒートポンプはありますか?
今回は、確認できていません。お持ちの車の公式の仕様を確認してください。
> 【この記事のつづきを、本で(PR)】
> 電池の熱が、冬の暖房に回る。ここまで読んで、「では、電池そのものは、どんな部品で、モーターとどうつながっているのか」と気になった方へ。
> - 『図解まるわかり 電気自動車のしくみ』(川辺謙一、翔泳社): 電池、モーター、走りの制御を、図で順に追える入門書です(紹介文より)。目次には「電池と電源システム」「動力源としてのモーター」があります。熱や空調の章は、ありません。
> - 『文系のためのエコキュート入門。CO2でなぜお湯が沸くの?ヒートポンプ・エアコンの原理・冷媒って何?』(まんがびと、電子書籍): 「熱を作らず、運ぶ」とは、どういうことか。ヒートポンプとエアコンの冷凍サイクル、冷媒を、数式を避けて、短く説明する本です。エコキュートが中心で、車の話ではありません。
> 2冊とも、DMMブックスの紹介ページで、目次と紹介文を確認しました(本文は読んでいません)。記事の内容は、広告の有無で変えていません。
まとめ
- ヒートポンプは、熱を運ぶ装置。電気自動車は廃熱が少ないので、暖房に電池の電気を使い、航続距離が減る(Range Tips)。
- ヒートポンプのある車は、車の部品から熱を回収する。走行モードを落とすと、電池からより多くの熱を暖房に使える(取扱説明書)。
- 冬は、空調をAutoにする、走行モードを落とす、プレコンディショニングをすると、効率が上がる(Range Tips)。
出典(確認日 2026-10-16)
- Tesla Support「Range Tips」: https://www.tesla.com/support/range
- Model Y Owner's Manual「Operating Climate Controls」(北米版、ソフトウェア2026.32): https://www.tesla.com/ownersmanual/modely/en_us/GUID-4F3599A1-20D9-4A49-B4A0-5261F957C096.html
- Model Y 取扱説明書(日本語)「プレコンディショニングと充電の予約」: https://www.tesla.com/ownersmanual/modely/ja_jp/GUID-76995CEC-6402-4BFF-99FA-CEFA36E64A19.html
- Model 3 Service Manual「Fuse - Ancillary Bay (Remove and Replace)」: https://service.tesla.com/docs/Model3/ServiceManual/en-us/GUID-B2E6D454-DF92-4452-B707-CBC9295FCFD9.html
この記事は、科学技術の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。
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