テスラのギガキャスティングに使うアルミ合金とは?熱処理を不要にする特許を確認しながら図解

確認日 2026年10月15日 / 読む時間 約8分

目次
  1. 結論:テスラの特許は、「熱処理をしなくても、強い合金」を狙っている
  2. 構造部品向けの特許:EP4093894B1
  3. 混同しやすい特許:US11421304B2
  4. 確認できなかったこと
  5. よくある質問
  6. まとめ
  7. 出典(確認日 2026-10-15)

ギガキャスティングの車体部品に使うアルミ合金について、テスラの特許EP4093894B1「Die cast aluminum alloys for structural components」(2024年10月9日成立)は、鋳造したあとの熱処理を、なくすために開発した合金だと説明しています。ただし、特許は「狙い」の説明で、実際の量産部品が、その合金かは、確認できていません。

ダイカスト(高圧鋳造)の仕組み。溶かしたアルミを、高い圧力で金型に注ぎ込み、固めて、部品を取り出す(AI生成のイメージ。概念図)
図1:ダイカスト(高圧鋳造)のイメージ(AI生成。概念図で、実際の機械とは異なります)。

第6話で、テスラは、車体の一部を、溶かしたアルミを型に流し込んで、大きな部品として作ると説明しました。この記事では、そこで使うアルミ合金が、普通のアルミと何が違うのかを、特許で確認しながら見ていきます。

結論:テスラの特許は、「熱処理をしなくても、強い合金」を狙っている

ダイカスト(高圧鋳造)は、溶かした金属を、高い圧力で、金型に注ぎ込んで、短い時間で、部品を作る方法です。複雑な形を、たくさん作るのに向いています(一般的な説明です)。

一般に、鋳造した部品を、強くするために、熱処理(部品を高温に熱してから、急に冷やすなど)をすることがあります。ただし、急に冷やすと、部品が、ゆがんだり、内部に、ひずみ(残留応力)が残ったりしやすい、と言われています(これも一般的な説明です)。部品が大きいほど、この問題は、大きくなりそうです。

テスラの特許EP4093894B1は、まさにそこを狙っています。

特許の記述(Google Patentsの要約より)

この特許の合金は、「鋳造した合金に、あとから熱処理をする必要を、なくす」ために、開発された。

熱処理をする場合と、しない場合の比較のイメージ。従来の合金は、鋳造後に熱処理をして強くする。テスラの特許は、熱処理を不要にすることを狙う(AI生成のイメージ。概念図)
図2:熱処理をする場合と、不要にする狙い(AI生成。概念図)。

構造部品向けの特許:EP4093894B1

Google Patentsで確認しました。

項目内容
番号・名称EP4093894B1「Die cast aluminum alloys for structural components」(構造部品のためのダイカスト用アルミ合金)
出願人Tesla Inc
成立日2024年10月9日
優先日2020年1月20日
状態(Google Patents)有効(Active)と表示。満了予定は2041年1月20日
注意点2025年7月に、異議申立て(第三者が、成立に異議を唱える手続き)が、出されたと記録されている

つまり、この特許は、成立していますが、成立後に、異議が出されています。結果は、この記事では、確認できていません。Google Patentsも、状態の表示は、「法的な結論ではなく、推定」と断っています。

混同しやすい特許:US11421304B2

アルミ合金について調べると、US11421304B2という特許が、ギガキャスティング用の合金として、紹介されていることがあります。この特許も、原文で確認しました。

項目内容
番号・名称US11421304B2「Casting aluminum alloys for high-performance applications」
出願人Tesla, Inc.
成立日2022年8月23日
優先日2017年10月26日
要約の内容降伏強度(変形し始める強さ)が120MPa超、電気伝導率が45%IACS超の、アルミ鋳造合金。用途は、ローター、ステーター、バスバー、インバーターなどの、自動車の電気部品

この特許の要約は、電気をよく通す合金の説明で、車体の構造部品向けとは、書かれていません。説明の中には、「この合金は、プレス冷却(急冷)ができて、追加の溶体化熱処理が、いらない」という趣旨の記述もありますが、ここでは、モーターなどの電気部品が、主な用途です。

2つの特許の違い。EP4093894B1は、車体の構造部品向けで、熱処理をなくす狙い。US11421304B2は、電気をよく通す合金で、ローターやステーターなどの電気部品向け(AI生成のイメージ。Google Patentsによる)
図3:2つの特許の違い(AI生成のイメージ。Google Patentsによる)。

確認できなかったこと

  • 実際に、テスラの車体の鋳造部品が、これらの特許の合金かどうか(具体的な合金名や、成分は、公式資料で確認できませんでした)。
  • 鋳造機のメーカーが、公表している、大型の鋳造機の詳しい情報(公式発表の原文は、確認できていません)。
  • 熱処理を省いた部品の、強度や、寿命を、測定したデータ。
筆者の読み解き(確認した事実ではありません)

特許の書き方から、「大きな部品を、鋳造だけで、必要な強さにしたい」という狙いが、読み取れます。ただし、特許は、「こういう合金を、考えた」という書類です。実際の車に、どれくらい使われているのかは、別の話です。

よくある質問

ギガキャスティングのアルミ合金は、普通のアルミと何が違いますか?

テスラの特許EP4093894B1は、鋳造後の熱処理をなくすために開発した合金だと説明しています。実際の部品の合金は、確認できていません。

ギガキャスティング用の合金の特許は、成立していますか?

EP4093894B1が、2024年10月9日に成立しています(Google Patentsで有効と表示)。ただし、2025年7月に、異議申立てが出されたと記録されています。

US11421304B2も、ギガキャスティング用ですか?

特許の要約では、電気をよく通すアルミ鋳造合金で、ローターやステーターなどの電気部品が、用途として挙げられています。車体の構造部品向けとは、書かれていません。

熱処理をしないと、何がよいのですか?

一般的には、ゆがみや、ひずみが減り、工程が減る、と考えられます。テスラの特許が、その点を、狙っています。実際の効果の数字は、確認できていません。

まとめ

  • ダイカストは、溶かしたアルミを、高い圧力で金型に注ぐ方法。大きな部品ほど、鋳造後の熱処理で、ゆがみやひずみが出やすい(一般的な説明)。
  • テスラの特許EP4093894B1(2024年10月9日成立)は、鋳造後の熱処理を不要にする合金を説明する。ただし、2025年7月に異議申立てが出されている。
  • US11421304B2は、電気をよく通す合金の特許で、車体用とは書かれていない。
  • 実際の部品の合金名・成分、熱処理を省いた部品の測定データは、未確認。

次の記事:冬の充電に関わる、「オクトバルブ」の仕組みを、順番に見ていきます(準備中)。

出典(確認日 2026-10-15)

この記事は、科学技術の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。