テスラの公式の取扱説明書(Model 3、北米版、ソフトウェア2026.32)では、運転支援は、①全車標準のTraffic-Aware Cruise Control(前の車に合わせて速度を保つ)、②Autosteer(車線の中を保つ。高速道路など、車線がはっきりした道路向け)、③Full Self-Driving (Supervised)(市街地を含む、あらゆる道路向け)と、段階的に説明されています。「オートパイロット」という名前の製品は、今回読んだ現在の公式ページには見つかりませんでした。どの段階でも、運転手が前を見て、いつでも操作を引き継ぐ必要があります。

FSDとオートパイロットは、何が違うのか。 検索すると、この質問をよく見かけます。前の記事のTesla Visionで、運転支援がカメラを使うことを確認しました。この記事では、その運転支援がどんな段階に分かれているのかを、テスラの公式の説明で整理します。
結論:3つの段階。ただし、「オートパイロット」という名前は、現在の公式ページに見つからなかった
テスラの公式の取扱説明書(Model 3、北米版、ソフトウェア2026.32)の「About Self-Driving」には、運転支援が、次のように書かれています。
| 段階 | 機能の名前 | 公式の説明(要約) |
|---|---|---|
| ① 標準 | 安全機能+Traffic-Aware Cruise Control(TACC) | 全車に付く。TACCは、設定した速度と、前の車との距離を保つ。ハンドル操作は、運転手がする。 |
| ② Autosteer | Autosteer(ベータ版)、Auto Lane Change、Navigate on Autosteer | TACCに加えて、車線の中を保つようにハンドルを動かす。車線がはっきりした、複数車線の道路向け。 |
| ③ FSD | Full Self-Driving (Supervised) | 市街地を含むあらゆる道路で、交差点、止まれの標識、ラウンドアバウトの対応、右左折、高速道路の出入りをしながら、目的地へ向かおうとする。 |
どの段階も、公式の説明には、同じ注意が書かれています。
「これらの機能は、Model 3を完全な自動運転にするものではなく、運転手に代わるものではありません。」(取扱説明書のAbout Self-Drivingより、筆者の訳)
つまり、どの段階も、運転手が運転の責任を持つ。FSDも、名前は「Full Self-Driving」でも、公式の名前は (Supervised)=監督つき です。
テスラのサポートページ「Autopilot」(`tesla.com/support/autopilot`)を開くと、「Active Safety Features and Traffic-Aware Cruise Control」というページに移りました。また、取扱説明書の「About Self-Driving」にも、「Autopilot」という名前は出てきませんでした。ですので、「オートパイロット」は、以前の呼び名だと思われます(これは筆者の推測です)。何が「オートパイロット」に含まれていたのか、いつ名前が変わったのかは、今回は確認できていません。
①標準:安全機能と、Traffic-Aware Cruise Control
テスラの公式サポートページ(Active Safety Features and TACC)によると、全てのテスラ車に、標準で付くのは、次のものです。
| 機能 | 公式の説明(要約) |
|---|---|
| Automatic Emergency Braking | ぶつかりそうな車や障害物を見つけて、ブレーキをかける |
| Forward Collision Warning | 前の遅い車や止まっている車にぶつかりそうなときに、警告する |
| Side Collision Warning | 車の横の障害物にぶつかりそうなときに、警告する |
| Obstacle Aware Acceleration | 低速で、前に障害物があるとき、加速を自動で弱める |
| Blind Spot Monitoring | 車線変更のとき、死角に車があれば警告する |
| Lane Departure Avoidance | 車線から出そうなとき、ハンドルを補正する |
| Emergency Lane Departure Avoidance | 車線を出て、ぶつかるおそれがあるとき、車線に戻す |
さらに、Traffic-Aware Cruise Control(TACC) は、普通のクルーズコントロール(設定した速度を保つ)に加えて、前の車との車間距離を保つよう、自動で加速・減速します。ただし、TACCを使っている間も、「ハンドルは運転手の責任」と、書かれています。
②Autosteer:車線の中を保つ
取扱説明書の「Autosteer」のページによると、次のとおりです。
- Autosteerは、TACCと同じく、設定した速度、または前の車との距離を保つ。さらに、車線の線、道路の端、車や物を検出して、車を走行中の車線の中に保つ。
- ベータ版(BETA)の機能と、書かれている。
- 使えるのは、時速18マイル(30km/h)〜85マイル(140km/h)のとき。
- Auto Lane Change: Autosteer中にウインカーを出すと、隣の車線に移る(安全な条件がそろったとき)。
- Navigate on Autosteer: ナビの経路に沿って、車線を変えたり、出口に向かったりする。これもベータ版。
- 速度の制限が検出できないときは、設定速度を時速45マイル(70km/h)までに制限する。
- ハンドルに手を置いたまま使う「ハンズオン」の機能と、明記されている。
「ハンズオン」は、ハンドルに手を置いておく、という意味です。ハンドルを握る力は、軽くてかまいませんが、車は、ハンドルが回ったときの手応えなどで、手が置かれているかを見ています(取扱説明書より)。
③FSD(Supervised):あらゆる道路で、目的地へ向かおうとする
取扱説明書の「Full Self-Driving (Supervised)」のページによると、次のとおりです。
- 目的地へ向かうために、カーブに沿う、交差点・止まれの標識・ラウンドアバウトに対応する、右左折をする、高速道路に出入りする。
- TACC、Autosteer、Navigate on Autosteerは、「車線の線がはっきりした、複数車線の道路」向け。FSD(Supervised)は、「さまざまな状況で働く」ことを目指していて、住宅街や市街地の道も含めて、あらゆる道路で使える。
- 車線変更は、車が自分で判断して行う。Navigate on Autosteerと違って、車線変更のたびの確認は、求められない。
- 時速85マイル(140km/h)未満なら、止まっているときも含めて、有効にできる。
- 速度の設定は、「Sloth / Chill / Standard / Hurry / Mad Max」の5段階(Slothは速度制限以下、Mad Maxは、Hurryよりさらに速く、車線変更も多い)。
- FSD(Supervised)を有効にすると、TACCとAutosteerは、使えなくなる(取扱説明書の注記)。

どの段階でも、運転手は「見張り役」
公式の取扱説明書には、運転手が、ずっと注意していることを確かめる仕組みも、書かれています。
- 運転手が前を見ているかは、バックミラーの上の車内カメラが見張る。この機能は、オフにできないと書かれている。サングラスをしていても、動く。
- 運転手が繰り返し前を見ない場合は、警告が段階的に強くなる。無視し続けると、その運転支援は、その走行の間、使えなくなる。
- それでもハンドルを握らない場合、車は、連続した警告音を鳴らし、ハザードランプをつけて、安全に止まる。
- 注意不足で運転支援が切れることを「ストライクアウト」といい、5回で、1週間、使えなくなる(取扱説明書。サポートページには、車の設定によって3回または5回、と書かれている)。ストライクアウトは、半週間(3.5日)で許される。
- 運転手の注意を見張る仕組みをごまかす道具を使うと、機能が永久に使えなくなることがあると、書かれている。

料金について(公式ページの表示。米国)
テスラの米国のサポートページ(FSD)には、2026年10月16日に読んだ時点で、次のように書かれていました。
- FSD(Supervised)は、月額99米ドルのサブスクリプション(月ごとの契約)。
- 「一括購入では、利用できません。サブスクリプションのみ」と、書かれている。
- 以前に一括購入した場合の、別の車への移行プログラムは、2026年3月31日に終了した。
これは、米国のページの表示です。日本での提供状況、価格、利用できる機能は、今回は確認していません。また、価格や機能の提供は、予告なく変わると、ページに書かれています。購入や契約の前に、必ず、最新の公式ページで確認してください。
テスラが述べている安全性の数字
FSDのサポートページには、「FSD(Supervised)を使っているテスラ車は、使っていない車に比べて、大小の事故が7分の1、高速道路以外での事故が5分の1」と書かれています(「Vehicle Safety Report」にもとづく、と書かれている)。
この数字は、テスラ自身の主張です。Vehicle Safety Reportの原文、比べ方(どんな条件の車を、どう比べたか)は、今回は確認していません。この記事では、「テスラは、こう述べている」という紹介にとどめます。
よくある質問
FSDとオートパイロットは、同じですか?
今回読んだ現在の公式の取扱説明書とサポートページでは、「オートパイロット」という名前の製品は、見つかりませんでした。現在は、「Traffic-Aware Cruise Control」「Autosteer」「Full Self-Driving (Supervised)」などの名前で説明されています。以前の呼び名との対応は、確認できていません。
FSDを使えば、運転しなくていいのですか?
いいえ。公式の説明は、「運転手の代わりにはならない」「常に、前を見て、操作を引き継げる状態でいる」と書いています。
FSDは、どの道路で使えますか?
取扱説明書では、「住宅街や市街地を含む、あらゆる種類の道路」と書かれています。ただし、狭い道で対向車が来る場面、工事現場、複雑な交差点などでは、運転手の操作が必要になることがあると、書かれています。
日本でも、FSDは使えますか?
今回は、確認できていません。日本版の取扱説明書や、日本の公式ページを、読んでいません。
まとめ
- テスラの運転支援は、標準(安全機能+TACC)→ Autosteer → FSD(Supervised) の3段階で説明されている。
- Autosteerは、車線の中を保つ(ベータ版、時速30〜140km/h、ハンズオン)。FSDは、市街地も含めて、目的地へ向かおうとする。
- 「オートパイロット」という名前は、現在の公式ページでは見つからなかった(以前の呼び名と思われる。筆者の推測)。
- どの段階も、運転手が責任を持つ。車内カメラが、見張る。
- 米国の価格(月額99ドル)、安全性の数字(事故が減る)、日本での提供状況は、未確認、またはテスラ自身の主張。
次の記事:電池の種類、LFPとNMCの違いと、選ぶときの考え方を見ていきます。
出典(確認日 2026-10-16)
- Tesla「Model 3 Owner's Manual」About Self-Driving(北米版、ソフトウェア2026.32): https://www.tesla.com/ownersmanual/model3/en_us/GUID-101D1BF5-52D2-469A-A57D-E7230BBEE94B.html
- Tesla「Model 3 Owner's Manual」Autosteer: https://www.tesla.com/ownersmanual/model3/en_us/GUID-20F2262F-CDF6-408E-A752-2AD9B0CC2FD6.html
- Tesla「Model 3 Owner's Manual」Full Self-Driving (Supervised): https://www.tesla.com/ownersmanual/model3/en_us/GUID-2CB60804-9CEA-4F4B-8B04-09B991368DC5.html
- Tesla Support「Full Self-Driving (Supervised)」: https://www.tesla.com/support/fsd
- Tesla Support「Active Safety Features and Traffic-Aware Cruise Control」: https://www.tesla.com/support/active-safety-tacc
この記事は、科学技術の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。運転支援機能は、運転手の注意を前提にしたものです。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。
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