テスラのモーターとは?誘導モーターと永久磁石モーターを使い分ける理由を、公式の説明書で確認

確認日 2026年10月15日 / 読む時間 約8分

目次
  1. 結論:前後で、違う種類のモーターを使う車がある
  2. モーターの基本(一般的な説明)
  3. なぜ、種類を選ぶのか:設計者の発言(2018年)
  4. インバーターの役割
  5. 2023年:「レアアースを使わない次のモーター」
  6. 確認できなかったこと
  7. よくある質問
  8. まとめ
  9. 出典(確認日 2026-10-15)

Model 3の公式取扱説明書は、後ろのモーターを「交流の永久磁石同期モーター」、前のモーター(AWD車)を「交流の誘導モーター」と書いています。どちらも液冷で、可変周波数ドライブで動かします。テスラのモーター設計者は、2018年に、Model 3で永久磁石モーターを選んだ理由を「コストを最小にする問題を、よりよく解けた」と説明しました。ただし、現在の全車種のモーターの種類や、効率の数字は、確認できていません。

2種類のモーターの比較。誘導モーターは、回転子に電流が誘導されて回る。永久磁石モーターは、回転子の磁石で回る(AI生成のイメージ。概念図)
図1:誘導モーターと、永久磁石モーター(AI生成。概念図で、実際の構造とは異なります)。

電気自動車は、電池の電気を、モーターで、動く力に変えます。この記事では、テスラが使うモーターの種類と、それを動かすインバーターを、公式の取扱説明書などで確認していきます。

結論:前後で、違う種類のモーターを使う車がある

Model 3の公式取扱説明書(Subsystems、車両の仕様)には、こう書かれています。

取扱説明書の記述(原文を短く引用)

「Rear motor: AC permanent magnet synchronous motor, liquid-cooled, with variable frequency drive.」

「Front motor (AWD vehicles): AC induction motor, liquid-cooled, with variable frequency drive.」

(後ろのモーター:交流の永久磁石同期モーター、液冷、可変周波数ドライブつき。前のモーター(AWD車):交流の誘導モーター、液冷、可変周波数ドライブつき。)

つまり、AWD(前後2つのモーターで走る)のModel 3では、後ろと前で、モーターの種類が違います。

モーターの基本(一般的な説明)

モーターは、電気の力で、磁石の力を使って、軸を回す機械です。回る部分を回転子(ローター)、外側で固定された部分を固定子(ステーター)と言います。

  • 永久磁石モーター:回転子に、磁石が入っている。固定子が作る回る磁界に、磁石がついていって回る。
  • 誘導モーター:回転子は、磁石ではなく、電気を通す金属(銅やアルミなど)でできている。固定子の磁界が変わると、回転子に電流が誘導されて、それが回転子を回す。
モーターの中。外側の固定子が回る磁界を作り、内側の回転子が回る(AI生成のイメージ。一般的な説明にもとづく概念図)
図2:固定子と回転子(AI生成。一般的な説明にもとづく概念図)。

なぜ、種類を選ぶのか:設計者の発言(2018年)

テスラの主任モーター設計者、Konstantinos Laskaris氏は、2018年に、展示会CWIEME(シカゴ)で、Model 3のモーターについて話しました。報道(Electrek、2018年2月27日、Fred Lambert記者)は、次のように伝えています。

  • 永久磁石モーターは、磁石による効率の良さがある。一方、誘導モーターは、磁界を細かく調整して、効率を最適にしやすい。
  • Model 3で永久磁石モーターを選んだのは、コストを最小にする問題を、よりよく解けたから。
  • 将来どの技術を使うかは、「モーターのコスト、航続距離、電池のコストの、トレードオフ」で決まる。

これは報道を通した発言で、テスラの公式資料の原文ではありません。

インバーターの役割

電池は、直流の電気をためています。取扱説明書が書く「可変周波数ドライブ(variable frequency drive)」は、交流モーターを回すために、直流を、周波数を変えられる交流に変える装置です。この装置を、一般にインバーターと呼びます(これは一般的な説明です)。

交流の周波数を変えると、モーターの回る速さを変えられます。アクセルを踏む量に合わせて、インバーターが、モーターへ送る電気を調整している、と考えられます(筆者の読み取りで、取扱説明書が、この説明を直接書いているわけではありません)。

電池の直流を、インバーターで交流に変えて、モーターを回す流れ(AI生成のイメージ。一般的な説明にもとづく概念図)
図3:電池から、インバーター、モーターへの流れ(AI生成。概念図)。

2023年:「レアアースを使わない次のモーター」

2023年3月1日の投資家向けイベントについて、報道(Electrek、2023年3月1日、Jameson Dow記者)は、テスラのスライドが、「次のモーターには、永久磁石が含まれ、その磁石は、レアアース元素を使わない」と示したと伝えています。また、2017年から2022年に、新しいModel 3の駆動ユニットのレアアース使用量を、25%減らし、同時に効率も上げた、とも伝えています。

ただし、報道は、どの元素を、どの磁石に置き換えるのか、いつ生産するのかを、テスラが説明しなかったと、指摘しています。この記事では、テスラの原文のスライドや書き起こしを、確認できていません。

確認できなかったこと

  • 現在の、全車種(Model S、X、Y、Cybertruckなど)の、モーターの種類。
  • モーターの正式な名前(第三者の記事では、「永久磁石の、同期リラクタンスモーター」などの呼び方があるが、テスラの公式資料では、確認できていません)。
  • モーターやインバーターの、効率や出力の、公式の数字。
  • 2023年のイベントの原文(スライド、書き起こし)と、レアアースを使わない磁石の中身。
筆者の読み解き(確認した事実ではありません)

取扱説明書と設計者の発言から、「前後で、得意なことが違うモーターを使い分けて、効率とコストを両立したい」という考え方は、読み取れます。ただし、前後で、実際にどう役割を分けているのかは、この記事では確認できていません。

よくある質問

テスラのモーターは、何種類ですか?

Model 3の取扱説明書では、後ろが永久磁石同期モーター、前(AWD車)が誘導モーターです。他の車種は、この記事では確認できていません。

誘導モーターと永久磁石モーターは、何が違いますか?

誘導モーターは、回転子に電流が誘導されて回ります。永久磁石モーターは、回転子の磁石で回ります(一般的な説明)。

インバーターとは何ですか?

電池の直流を、交流に変えて、モーターに送る装置です。取扱説明書は「可変周波数ドライブ」と書いています。

レアアースを使わないモーターは、実現しましたか?

2023年のイベントでの発表の報道は、確認できました。実際の車に使われているかは、この記事では確認できていません。

まとめ

  • Model 3の取扱説明書は、後ろを永久磁石同期モーター、前(AWD)を誘導モーターと書く。どちらも液冷で、可変周波数ドライブで動かす。
  • 設計者は、2018年に、Model 3で永久磁石モーターを選んだ理由を、コストを最小にする問題を、よりよく解けたと説明した(報道)。
  • インバーターは、直流を、周波数を変えられる交流に変える装置(一般的な説明)。
  • 現在の全車種のモーター、効率の数字、2023年の原文は、未確認。

次の記事:充電の速さが、温度や電池の残量で、どう変わるのかを、順番に見ていきます(準備中)。

出典(確認日 2026-10-15)

この記事は、科学技術の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。