LFPは、正極(電池のプラス側の材料)に鉄とリンを使う電池で、NMCは、ニッケル・マンガン・コバルトを使う電池です。国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、LFPは、エネルギー密度(同じ重さ・大きさに蓄えられるエネルギー)がNMCより低い傾向にありますが、同じ容量あたりの値段は安いとされています。2022年の世界の電気自動車では、NMCが約60%、LFPが約30%でした。テスラの公式ページは、電池ごとに、おすすめの充電のしかたが違うと書き、おすすめの充電上限は、車の画面で確認するよう案内しています。

第1部の電池はなぜ高い?では、電池の値段が、材料の値段の積み上げでできていることを見ました。その材料の選び方が、電池の「タイプ」を決めます。この記事では、電気自動車で使われる2大タイプ、LFPとNMCを比べます。
結論:LFPは「安くて長持ちと言われる」、NMCは「たくさん蓄えられる」。ただし数字は条件しだい
LFPは、Lithium Iron Phosphate(リン酸鉄リチウム)の頭文字です。NMCは、Nickel(ニッケル)・Manganese(マンガン)・Cobalt(コバルト)の頭文字で、正極の材料に、この3つの金属を使います。
国際エネルギー機関(IEA)の「Global EV Outlook 2023」には、次のように書かれています(要約)。
| 項目 | LFP | NMC |
|---|---|---|
| 正極の主な材料 | 鉄・リン | ニッケル・マンガン・コバルト |
| エネルギー密度 | NMCより低い傾向 | LFPより高い傾向 |
| 同じ容量あたりの値段 | NMC・NCAより安い | LFPより高い |
| 2022年の世界の電気自動車での割合 | 約30%(過去10年で最高) | 約60%(最大) |
エネルギー密度は、「同じ重さ(または大きさ)に、どれだけエネルギーを蓄えられるか」です。これが高いほど、同じ大きさの電池で、長く走れる(または、同じ距離なら、電池を軽く・小さくできる)傾向があります。
値段:なぜLFPは安いのか
IEAの報告では、LFPがNMC・NCAより安い理由として、LFPが、ニッケルとコバルトを使わないことが挙げられています。ただし、IEAは、2022年は、LFPの値段のほうが大きく上がったとも書いています。リチウムの値段が、ニッケルやコバルトより速く上がったためで、LFPの値段は25%以上、NMCは15%未満の上昇だったとされています。つまり、「LFPは、いつも安い」とは限らず、材料の相場しだいで、差は変わります。
また、IEAは、2022年にニッケルの値段が高くなったことで、メーカーが、エネルギー密度が低くても、ニッケルに頼らないLFPなどに向かった、と説明しています。
テスラとLFP
IEAの報告によると、2022年の電気自動車用のLFP電池の需要のうち、テスラが約15%を占めました。テスラの車のうち、LFPを使う車の割合は、2021年の20%から、2022年の30%に上がったとされています。また、テスラのLFP車の約85%は、中国で作られたとされています。
これは、2022年までの数字です。現在(2026年)の、テスラのLFP車の割合や、どの車種・どのグレードがLFPかは、今回は確認できていません。テスラの公式資料で、車ごとの電池のタイプは、確認していません。

充電のしかた:電池のタイプで、おすすめが違う
テスラの公式サポートページ「Range Tips」は、電池の長持ちについて、次のように書いています(要約)。
- 電池の種類によって、最適な充電のしかたが違う。車の画面に、その電池におすすめの充電上限が表示される。上限を変えるには、画面の充電のページで、スライダーを動かす。
- おすすめの充電上限が80%の車は、毎日の使い方では80%のままにして、長距離の旅行の前など、必要なときだけ100%にする。
- 0%や100%の近くに、何日も、何週間も置いたままにするのは、避ける。
- できるだけ、こまめに充電する。電池を低い状態まで、よく減らしてから充電するのは、長い目で見ると、電池に負担になる。
- 家で充電できるときは家で、遠出のときは、スーパーチャージャー(急速充電)を使う。
- 2週間以上、使わないときは、50%くらいにして、できれば、つないだままにする。
このページは、どのタイプの電池が、どのおすすめ上限なのかを、書いていません。「LFPは、毎日100%まで充電してよい」という話は、ネットではよく見かけますが、今回読んだテスラ公式のページでは、確認できていません。実際には、お持ちの車の画面に出る、おすすめの上限に従うのが、公式の案内です。
寒い日の電池の使い方は、バッテリーのプレコンディショニングの記事も、あわせて読んでください。
寒さ、安全性、寿命:よくいわれることと、確認できなかったこと
LFPについて、「寒さに弱い」「燃えにくい」「充放電をくり返しても、長持ちしやすい」と、よくいわれます。ただし、今回、公式の資料や、公的な機関の原文で、数字つきで確認できたのは、上の表のこと(材料、エネルギー密度の傾向、値段、割合)だけです。
- 寒さへの強さ:テスラの公式のRange Tipsは、寒さで走れる距離が短くなると書いていますが、「LFPは、NMCより、何%落ちる」という数字は、書いていません。
- 燃えにくさ:一般に、LFPは、熱に強いとされていますが、今回、原文で確認していません。
- 寿命(充放電の回数):メーカー・販売会社のサイトには、具体的な回数が書かれていますが、数字が、サイトによって大きく違いました。公的な機関の原文で確認できなかったので、この記事では、数字を載せません。
選ぶときの考え方(筆者の整理)
テスラの公式ページには、「LFPとNMCの、どちらを選ぶべきか」という案内は、見つかりませんでした。ですので、ここは、上で確認できたことをもとにした、考え方の整理です。
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- 長い距離を走る、荷物が重い、などで、航続距離が最優先 → エネルギー密度が高い傾向のNMC側が、有利になりやすい。
- 値段を抑えたい → 同じ容量あたりの値段が安いとされるLFP側が、有利になりやすい。ただし、材料の相場で変わる。
- 充電のしかた → 電池のタイプを問わず、車の画面の「おすすめの充電上限」に従う。
- 寒い地域 → 電池のタイプだけでなく、ヒートポンプやプレコンディショニングの有無も、影響する(Range Tips)。
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実際の選択は、車種・グレードごとの、公式の仕様(電池のタイプ、航続距離、保証)を、見比べてください。

よくある質問
LFPとNMCは、何が違うのですか?
正極の材料が違います。LFPは鉄とリン、NMCはニッケル・マンガン・コバルトです。IEAの報告では、LFPのエネルギー密度はNMCより低い傾向にあり、同じ容量あたりの値段は安いとされています。
テスラの車は、LFPですか?NMCですか?
車種や、グレード、作られた場所で違うと報じられています。IEAの報告では、2022年にテスラの約30%の車がLFPでした。現在の車種ごとの電池のタイプは、今回は確認できていません。お持ちの車、または買いたい車の、公式の仕様を確認してください。
LFPは、毎日100%まで充電していいのですか?
テスラの公式ページは、「電池によって最適な充電のしかたが違う」「おすすめの上限は、車の画面に出る」と書いています。LFPが100%でよいという記述は、今回、公式ページでは確認できていません。車の画面の表示に従ってください。
寒いと、LFPは走れる距離が大きく減りますか?
テスラの公式ページは、寒いと走れる距離が短くなると書いています。LFPがNMCより、どれだけ落ちるかの数字は、今回は確認できていません。
まとめ
- LFPは鉄とリン、NMCはニッケル・マンガン・コバルトを、正極に使う。
- IEAの報告では、LFPは、エネルギー密度が低い傾向だが、同じ容量あたりの値段は安い。2022年の世界では、NMCが約60%、LFPが約30%。値段の差は、材料の相場で変わる。
- テスラの公式ページは、電池ごとに最適な充電のしかたが違うと書き、おすすめの充電上限は、車の画面で確認するよう案内している。
- 寒さ、燃えにくさ、寿命の数字は、公式の原文で確認できなかったので、載せていない。選ぶときは、車ごとの公式の仕様を確認する。
出典(確認日 2026-10-16)
- IEA「Global EV Outlook 2023」Trends in batteries(2022年のデータ): https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2023/trends-in-batteries
- Tesla Support「Range Tips」: https://www.tesla.com/support/range
この記事は、科学技術の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。
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