イーロン・マスクの4680セルとは?テスラが電池を大きくした理由を、図でやさしく解説

確認日 2026年10月14日 / 読む時間 約8分

目次
  1. 結論:4680セルは、直径46mm・高さ80mmの、大きな円筒形の電池
  2. なぜ「大きくした」のか:テスラの主張
  3. 大きくすると、何がうれしいのか(一般的な説明)
  4. 実際の車に使われているのか
  5. よくある質問
  6. まとめ
  7. 出典(確認日 2026-10-14)

4680セルは、直径46mm・高さ80mmの円筒形の電池で、名前の数字が、そのまま大きさです。従来の2170セル(直径21mm・高さ70mm)と比べて、体積は約5.5倍(筆者の計算)。テスラは、2020年のBattery Dayで、このセルで「エネルギー5倍、出力6倍、航続距離16%向上」になると説明したと、報道されています。ただし、テスラ自身の発表資料の原文は、この記事では確認できていません。

2170セルと4680セルの大きさの比較。4680は、直径46mm、高さ80mm。体積は、2170の約5.5倍(筆者の計算)(AI生成のイメージ)
図1:2170セルと4680セルの大きさ(AI生成のイメージ。数字は名前から読み取った値と、筆者の計算)。

4680セルとは何か。 第1部の電池はなぜ高い?で、電池は材料の値段が積み上がる、という話をしました。その電池を、安く、たくさん作るために、イーロン・マスクが選んだ道の1つが、電池そのものを大きくすることでした。それが4680セルです。

結論:4680セルは、直径46mm・高さ80mmの、大きな円筒形の電池

4680という名前は、直径46mm、高さ80mmを表しています。これまでテスラの車で使われてきた2170セルは、名前の数字から、直径21mm、高さ70mmと読み取れます。

大きさを比べると、次のとおりです(円柱の体積=底面の円の面積×高さ。筆者の計算です)。

2170セル4680セル比
直径21mm46mm約2.2倍
高さ70mm80mm約1.1倍
底面の面積約346mm²約1,662mm²約4.8倍
体積約24.2cm³約132.9cm³約5.5倍

(底面の面積=π×(直径÷2)²、体積=面積×高さで計算。電池の内部は空洞ではないので、実際の容量の比と、体積の比は、同じではありません。)

なぜ「大きくした」のか:テスラの主張

2020年9月22日のBattery Dayで、テスラは4680セルを発表しました。報道(Electrek、2020年9月22日、Fred Lambert記者)によると、テスラが述べた主張は、次のとおりです。

項目テスラの主張(報道による)
エネルギー量(1セルあたり)5倍
出力6倍
航続距離セルの形(大きさ)の変更だけで、16%向上
コスト(1kWhあたり)14%低下(セルの形のレベルのみ)

同じ報道は、「テスラは、エネルギー密度(同じ体積あたりの蓄えられるエネルギー)が、よくなるとは、言っていない」とも書いています。つまり、「1つのセルが大きくなるので、1つあたりのエネルギーが5倍になる」のであって、「同じ大きさで、電池の性能が5倍になる」わけではない、と読めます(これは、報道と、筆者の読み取りです)。

この記事で確認できていないこと

上の数字は、テスラのBattery Dayの発表資料(スライド)の原文を、私が直接確認したものではありません。公式資料のページにたどり着けず、報道(Electrek)を通じた、テスラの主張の紹介です。「確認できたこと」とは、区別しています。

4680セルについて、確認できたことと、確認できなかったこと。確認できた:名前の意味(46×80mm)、体積の比(筆者の計算)。報道によるテスラの主張:エネルギー5倍、出力6倍、航続距離16%向上。未確認:テスラの公式スライドの原文、実際の車での実現状況(AI生成のイメージ)
図3:確認できたことと、できなかったこと(AI生成のイメージ)。

大きくすると、何がうれしいのか(一般的な説明)

電池のセルは、1つ1つに、ケース、端子、保護の部品が必要です。セルを大きくすれば、同じ容量でも、セルの数が減り、部品や、組み立ての工程が減ると、考えられます(これは一般的な説明で、テスラが公式に示した数字ではありません)。

ただし、大きなセルには、課題もあります。熱がこもりやすくなることです。そこで、テスラが組み合わせたのが、電流の出入り口(タブ)をなくすタブレスという構造です。くわしくは、次の記事で説明します。

大きなセルの課題と、タブレスの役割。セルが大きくなると熱がこもりやすい。電流の出口を全周に広げるタブレス構造で、この課題に対応する(AI生成のイメージ。概念図)
図2:大きなセルの課題と、タブレス(AI生成。概念図で、実際の内部構造とは異なります)。

→ 次の記事:テスラ4680セルの「タブレス」とは?

実際の車に使われているのか

テスラの車の電池の最新の状況(どの車種に、どれだけ4680セルが使われているか)は、この記事では、テスラの公式資料で確認できていません。報道では、2024年に、テスラのCybertruck用の4680セルの生産に関する話が、決算説明会で出た、と伝えられています。ただし、これは、報道を通じた情報で、公式の文書として確認したものではないので、詳しくは書きません。

筆者の読み解き(確認した事実ではありません)

「電池を大きくして、部品を減らす」という考え方は、第6話で見た「車体を、大きな1つの部品で作る」考え方と、よく似ています。どちらも、「小さな部品をたくさん組み合わせる」やり方を、疑う発想に見えます。この共通点は、私の見方で、テスラが、そう説明しているわけではありません。

よくある質問

4680セルの「4680」は、何を表していますか?

直径46mm、高さ80mmを表します。2170は、直径21mm、高さ70mmを表します。

4680セルは、2170セルの何倍の容量ですか?

体積は、約5.5倍です(筆者の計算)。テスラは、1セルあたりのエネルギーを5倍と説明したと、報道されています。実際の容量は、電池の中身や設計で変わるので、体積の比と、同じとは限りません。

4680セルを作ったのは、誰ですか?

この記事では、確認できていません。Battery Dayで発表したのはテスラですが、実際の製造の状況(自社生産か、他社からの購入か)は、確認できていません。

4680セルで、航続距離は、16%延びたのですか?

「セルの形の変更だけで、16%向上する」というのが、テスラの2020年の主張と、報道されています。実際の車で、その数字が実現したかは、この記事では確認できていません。

まとめ

  • 4680セルは、直径46mm・高さ80mmの円筒形の電池。従来の2170セル(直径21mm・高さ70mm)と比べて、体積は約5.5倍(筆者の計算)。
  • テスラは、2020年のBattery Dayで、エネルギー5倍、出力6倍、航続距離16%向上、コスト14%低下(セルの形のレベル)を主張したと、報道されている(Electrek)。テスラは、エネルギー密度の向上は、言っていない。
  • 大きなセルは、熱がこもりやすい。その対策が、タブレス構造(次の記事)。
  • テスラの公式のスライドの原文、実際の車での実現状況は、未確認。

次の記事:4680セルの熱の課題を解決する、「タブレス」の仕組みを、順番に見ていきます。

出典(確認日 2026-10-14)

この記事は、科学技術の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。