4680セルは、直径46mm・高さ80mmの円筒形の電池で、名前の数字が、そのまま大きさです。従来の2170セル(直径21mm・高さ70mm)と比べて、体積は約5.5倍(筆者の計算)。テスラは、2020年のBattery Dayで、このセルで「エネルギー5倍、出力6倍、航続距離16%向上」になると説明したと、報道されています。ただし、テスラ自身の発表資料の原文は、この記事では確認できていません。

4680セルとは何か。 第1部の電池はなぜ高い?で、電池は材料の値段が積み上がる、という話をしました。その電池を、安く、たくさん作るために、イーロン・マスクが選んだ道の1つが、電池そのものを大きくすることでした。それが4680セルです。
結論:4680セルは、直径46mm・高さ80mmの、大きな円筒形の電池
4680という名前は、直径46mm、高さ80mmを表しています。これまでテスラの車で使われてきた2170セルは、名前の数字から、直径21mm、高さ70mmと読み取れます。
大きさを比べると、次のとおりです(円柱の体積=底面の円の面積×高さ。筆者の計算です)。
| 2170セル | 4680セル | 比 | |
|---|---|---|---|
| 直径 | 21mm | 46mm | 約2.2倍 |
| 高さ | 70mm | 80mm | 約1.1倍 |
| 底面の面積 | 約346mm² | 約1,662mm² | 約4.8倍 |
| 体積 | 約24.2cm³ | 約132.9cm³ | 約5.5倍 |
(底面の面積=π×(直径÷2)²、体積=面積×高さで計算。電池の内部は空洞ではないので、実際の容量の比と、体積の比は、同じではありません。)
なぜ「大きくした」のか:テスラの主張
2020年9月22日のBattery Dayで、テスラは4680セルを発表しました。報道(Electrek、2020年9月22日、Fred Lambert記者)によると、テスラが述べた主張は、次のとおりです。
| 項目 | テスラの主張(報道による) |
|---|---|
| エネルギー量(1セルあたり) | 5倍 |
| 出力 | 6倍 |
| 航続距離 | セルの形(大きさ)の変更だけで、16%向上 |
| コスト(1kWhあたり) | 14%低下(セルの形のレベルのみ) |
同じ報道は、「テスラは、エネルギー密度(同じ体積あたりの蓄えられるエネルギー)が、よくなるとは、言っていない」とも書いています。つまり、「1つのセルが大きくなるので、1つあたりのエネルギーが5倍になる」のであって、「同じ大きさで、電池の性能が5倍になる」わけではない、と読めます(これは、報道と、筆者の読み取りです)。
上の数字は、テスラのBattery Dayの発表資料(スライド)の原文を、私が直接確認したものではありません。公式資料のページにたどり着けず、報道(Electrek)を通じた、テスラの主張の紹介です。「確認できたこと」とは、区別しています。

大きくすると、何がうれしいのか(一般的な説明)
電池のセルは、1つ1つに、ケース、端子、保護の部品が必要です。セルを大きくすれば、同じ容量でも、セルの数が減り、部品や、組み立ての工程が減ると、考えられます(これは一般的な説明で、テスラが公式に示した数字ではありません)。
ただし、大きなセルには、課題もあります。熱がこもりやすくなることです。そこで、テスラが組み合わせたのが、電流の出入り口(タブ)をなくすタブレスという構造です。くわしくは、次の記事で説明します。

→ 次の記事:テスラ4680セルの「タブレス」とは?
実際の車に使われているのか
テスラの車の電池の最新の状況(どの車種に、どれだけ4680セルが使われているか)は、この記事では、テスラの公式資料で確認できていません。報道では、2024年に、テスラのCybertruck用の4680セルの生産に関する話が、決算説明会で出た、と伝えられています。ただし、これは、報道を通じた情報で、公式の文書として確認したものではないので、詳しくは書きません。
「電池を大きくして、部品を減らす」という考え方は、第6話で見た「車体を、大きな1つの部品で作る」考え方と、よく似ています。どちらも、「小さな部品をたくさん組み合わせる」やり方を、疑う発想に見えます。この共通点は、私の見方で、テスラが、そう説明しているわけではありません。
よくある質問
4680セルの「4680」は、何を表していますか?
直径46mm、高さ80mmを表します。2170は、直径21mm、高さ70mmを表します。
4680セルは、2170セルの何倍の容量ですか?
体積は、約5.5倍です(筆者の計算)。テスラは、1セルあたりのエネルギーを5倍と説明したと、報道されています。実際の容量は、電池の中身や設計で変わるので、体積の比と、同じとは限りません。
4680セルを作ったのは、誰ですか?
この記事では、確認できていません。Battery Dayで発表したのはテスラですが、実際の製造の状況(自社生産か、他社からの購入か)は、確認できていません。
4680セルで、航続距離は、16%延びたのですか?
「セルの形の変更だけで、16%向上する」というのが、テスラの2020年の主張と、報道されています。実際の車で、その数字が実現したかは、この記事では確認できていません。
まとめ
- 4680セルは、直径46mm・高さ80mmの円筒形の電池。従来の2170セル(直径21mm・高さ70mm)と比べて、体積は約5.5倍(筆者の計算)。
- テスラは、2020年のBattery Dayで、エネルギー5倍、出力6倍、航続距離16%向上、コスト14%低下(セルの形のレベル)を主張したと、報道されている(Electrek)。テスラは、エネルギー密度の向上は、言っていない。
- 大きなセルは、熱がこもりやすい。その対策が、タブレス構造(次の記事)。
- テスラの公式のスライドの原文、実際の車での実現状況は、未確認。
次の記事:4680セルの熱の課題を解決する、「タブレス」の仕組みを、順番に見ていきます。
出典(確認日 2026-10-14)
- Electrek(2020年9月22日、Fred Lambert)「Tesla unveils new 4680 battery cell: bigger, 6x power, and 5x energy」: https://electrek.co/2020/09/22/tesla-4680-battery-cell-bigger-power-energy/
この記事は、科学技術の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。