テスラの歩行者警告システムは、Model 3の取扱説明書(2026.32)によると、時速約40km未満で前進しているときと、後退しているときに音を出し、速度が上がるにつれて音が大きくなります。パーキング以外にシフトすると鳴ります。国土交通省は、2016年10月7日に、ハイブリッド自動車や電気自動車などに、歩行者に接近を音で知らせる「車両接近通報装置」を義務付ける保安基準の改正を公表しました。音が聞こえない場合、歩行者が気づかない恐れがあり、説明書は「このシステムに頼らないで」と警告しています。

ガソリン車は、エンジンの音で、近づいてくることが分かります。でも、電気自動車は、モーターで走るので、とても静かです。そこで、電気自動車には、わざと音を出すしくみがあります。この記事では、テスラの「歩行者警告システム」を、Model 3の取扱説明書(北米版と日本語版、ソフトウェア2026.32)で確認し、国土交通省の公表にある、日本での義務化の背景も見ます。
結論:ゆっくり走るとき(約40km/h未満)と、後退のときに、車が音を出す。速度が上がると、音も大きくなる
取扱説明書の説明は、次のとおりです。
| 項目 | 北米版(英語) | 日本語版 |
|---|---|---|
| 音が出る速度 | 約25マイル(40km/h)未満で走っているとき、または後退しているとき | 40km/h未満で前進しているとき、または後退しているとき |
| いつ鳴るか | Model 3が、パーキングからシフトされると、いつでも | パーキング以外にシフトされているとき |
| 音の変化 | 速度が上がると、音が大きくなる | 速度が上がるにつれて、音量が上がる |
| 目的 | 電気自動車は静かなので、歩行者に接近を知らせる | 電気自動車は音がしないので、歩行者に接近を知らせる |
2つの説明書は、ほぼ同じ内容です。
説明書の警告:このシステムに頼らない
説明書は、強い言葉で警告しています。
- 音が聞こえないと、歩行者は近づく車に気づかない恐れがあり、重傷事故や死亡事故につながるおそれがある。
- 歩行者に気づいてもらうために、このシステムに頼らないでください。
- システムが作動していないと思ったら、サービスの予約をする。
つまり、音は「補助」で、運転者は、歩行者の存在に、いつも注意する必要があります。
なぜ、音を出すのか:日本の義務化の背景(国土交通省)
国土交通省は、2016年(平成28年)10月7日に、道路運送車両の保安基準などの一部改正を公表しました。その内容を、公式のページと別紙で確認しました。
- ハイブリッド自動車や電気自動車などに、歩行者等に自動車の接近を音で知らせる「車両接近通報装置」を、義務付ける。
- 背景は、国連(UNECE)のWP29の第168回会合で、「静音性車両に係る協定規則(第138号)」が採択されたこと。これを受けて、国内にも、基準を導入する。
- 対象は、電力で動く原動機だけで走れる自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、けん引される自動車などを除く)。
- 基準の内容として、車両接近通報装置は、協定規則第138号の性能要件に適合するものを備え付けること。また、この装置の作動を停止させる機能を有さないものであること、とされています(別紙の記述)。
つまり、日本では、電気自動車の接近通報の音は、法令上の基準にもとづく装置です。テスラの歩行者警告システムが、この基準に、どのように対応しているかは、説明書には書かれていません。
ほかの機能と音のつながり
説明書には、歩行者警告システムのスピーカーが、ほかの機能でも使われると書かれています。
- サモン(呼び寄せ):「完了音」(目的地に着いたときに、車の外で鳴らす音)と、「中止時のエミッション」(サモンが中止されたとき、排ガスのテストのような音を出す設定)は、歩行者警告システムが必要。(サモンとオートパーキング参照)
- セントリーモードのライブカメラ(北米版):歩行者警告のスピーカーがある車では、アプリのマイクボタンを押し続けて、自分の声を、車のスピーカーから流せる。(セントリーモードとダッシュカム参照)
説明書が、サモンの完了音などに同じスピーカーを使うことを書いていることから、「安全のための音を出す部品を、ほかの機能の音にも使い回している」と読み取れます。ただし、実際の部品の構成は、説明書の文面だけでは分かりません。
よくある質問
電気自動車は、なぜ音を出すのですか?
とても静かで、歩行者が接近に気づきにくいためです。テスラの説明書は、歩行者に接近を知らせる目的を書いています。日本では、国土交通省が、2016年に、電気自動車などに、車両接近通報装置を義務付ける基準の改正を公表しました。
何km/hまで、音が出ますか?
日本語版の説明書は、40km/h未満、北米版は約25マイル(40km/h)未満です。後退のときも鳴ります。速度が上がると、音が大きくなります。
音を、止めることはできますか?
国土交通省の別紙は、この装置を「作動を停止させる機能を有さないもの」と定めています。テスラの説明書には、音を止める操作についての記述は、見つかりませんでした。
音が鳴らなくなったら、どうしますか?
説明書は、歩行者警告システムが作動していない場合、サービスの予約をするよう書いています。
歩行者警告システムがあれば、安全ですか?
いいえ。説明書は、このシステムに頼らず、歩行者の存在に、いつも注意するよう警告しています。
まとめ
- テスラの歩行者警告システムは、約40km/h未満の前進と、後退のときに音を出し、速度が上がると音が大きくなる(説明書)。
- 国土交通省は、2016年10月7日に、電気自動車などに車両接近通報装置を義務付ける基準改正を公表した。国連の第138号の採択が背景。
- 説明書は「このシステムに頼らない」と警告している。
関連する記事:サモンとオートパーキング、セントリーモードとダッシュカム、衝突回避の機能、回生ブレーキ。
次の記事:準備中です。
出典(確認日 2026-10-18)
- Tesla「Model 3 Owner's Manual(2024+、ソフトウェア2026.32、北米)」Pedestrian Warning System: https://www.tesla.com/ownersmanual/model3/en_us/GUID-5D8F5B42-90F9-4ED7-9B36-A54BFED1030C.html
- Tesla「Model 3 取扱説明書(日本語版)」歩行者警告システム: https://www.tesla.com/ownersmanual/model3/ja_jp/GUID-5D8F5B42-90F9-4ED7-9B36-A54BFED1030C.html
- 国土交通省「道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令等について」(平成28年10月7日): https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000220.html
- 国土交通省 同 別紙(PDF): https://www.mlit.go.jp/common/001148214.pdf
- Tesla「Model 3 Owner's Manual」Summon(完了音などに歩行者警告システムが必要): https://www.tesla.com/ownersmanual/model3/en_us/GUID-7D207174-88CD-4795-8265-9162A72AA578.html
この記事は、科学技術の学習を目的としたもので、投資の助言ではありません。事実と筆者の読み解きは、区別して書いています。図はAIで生成したイメージです。
読んでくださって、ありがとうございました。この記事は、あなたの役に立ちましたか?
ありがとうございます。よければ、感じたことを一言どうぞ。
任意です。名前やメールアドレスは要りません。
届きました。いただいた声は、これからの記事づくりに活かします。